北川悦吏子×鴻上尚史
人はなぜ死なせてもらえないのか
鴻上 誰も責任を取りたくないからかもしれないね。お医者さんがつまり「安楽死してもいいですよ」は責任を取りたくないし。たとえば、ええっと、北川さんが安楽死を選ぶって言った時に、親族の人に対して「なぜそういうことをさせたんですか」みたいなことを責められるんじゃないかとか
北川 うちの娘は「医者にやらせるのは酷だよ」言ってました。医者の仕事じゃないと思うよ、って。
鴻上 医者の仕事は、やっぱり、必要な情報を渡すこと。で「じゃあ死にましょう」とは言えないよね?それをジャッジするのは本人だよね...安楽死とか尊厳死とか、死っていうことを脇に置きがちだよね
北川 そうなんです。死そのものが暗くて重たくて終わりみたいな刷り込みがなされていますよね。私は死の感覚は変えたい。そう思って「半分、青い。」は書いていた。ものすごく「死ぬ」って言葉を平気で言わせてるんですよ。もうちょっとカジュアルに死を捉えて欲しいと思って。今まで一回死にかけてるんですけど。たまたま友達の事務所で倒れて救急車で運ばれたんですけど、血圧がめちゃくちゃ低くて。「私慶応病院です」と言ったら「そこまで言ったらやばいです」言われて「あ、もしかして私今死ぬ?」と思って、遺言言おうかなどうしようかなと迷った。結局助かってこうやって生きてるんですけど、その時死んでても良かったかな
鴻上 そのいいタイミングて、何がいいタイミングなの
北川 そのあとこんなに5、6年生きて朝ドラを書いてすらも、ああ助かって良かったとは思っていないんですよ
鴻上 ほぉ
北川 あの時死んでても結構良い終わりだよね、って思うんですよ。いつか死ななきゃいけないわけでしょ、またすごく苦しい思いして闘病して死ぬのは嫌じゃん
鴻上 それは本当に闘病が嫌だったんだね
北川 や、闘病ってすごく嫌なんですよ
鴻上 そうかそうか。それは俺も分かんねえな。長い闘病の経験がないからね。でも尊厳死に関しては割と今普通に広がってる。アンケートでも延命治療を望みますかっていうの、90%以上が延命治療なくていいんだ。随分変わってきてると思うけどな
北川 それはもうちょっと私は引き寄せたい、もうちょっと楽にしたい。死なせることが優しいことかって変な話だけど、でもそういうこともあると思うんですよね
鴻上 ドラマ書けばいいじゃないですか。これ結構日本の文化を変えるかも知れないですよ。安楽死を選ぶかどうかの話。こんなすごいテーマをエンターティンメントとしてドラマに出来たらすごいよね
北川 あんまりこういうことばっか考えていたくないんですけど...。(笑)もしかしたら変わるのかな、日本が環境が。どうしても生きなきゃいけないではなく、もしかしたら80とか90になって。ライフワークとして医者ドラマを書きたい。患者さんから見た医者ドラマ。
若林正恭:うちの親父は肺だったんですけど、モルヒネが効かない。二ヶ月ぐらい早く死にたいってずっと言ってました。安楽死がOKだったら「そうだね」って言ったかもな
滝沢カレン
子供は何を不思議に思って生きているのか
知ってることが増えちゃうじゃないですか、大人になるとどうしても。それがやっぱり大人になるある意味の悲しさ。左を見たときのこの草の輝き方とか。子供だったらきっとこれを触るだろう。でも私たちは触らない。私のいつかの夢で絵本を作りたい、そういうキラキラした気持ちを感じられたら、もっとみんなに伝えられることができるんじゃないかな
なんで神様は空から見てるのかな/ここの歯抜けそうなのに全然抜けない不思議/ウォーターサーバーって何でレバーを下にしただけで水が出てきたの?ヨドバシカメラに売ってた/なんで頑張らなきゃいけないの?だってさぁ、頑張ると疲れる..../電車はなんで速いの?会社に遅れたくないから/なんでパパとママは喧嘩しちゃうの?パパは料理が上手くないけどおいしい料理だと食べるからけんかになって、パパが実家に行った
楽しむほうがいい。この子にも頑張らなくていいんだよ、楽しめばいいんだよって言いたい。
どうして太陽はいてくるんですか
私たちは知ってしまったその事実を。太陽が回ってるだけで私たちに一切ついてきてないことを。私たちは前ばかり見てたけど、上を見てたんだこの子は、と思いました。
なんでDVDって止まるの?/トランプ大統領は日本語を話さないの?/なんで雨って透明なの?お日様が水を汲んでるからじゃないの?
なんて素敵な考え。あんなうまい具合に降らすのも辛いですよね。ちょうどいい水圧だし、お日様めちゃめちゃいい。この答え出ません。大人の固まった考えと、子供の柔軟なワクワクする答え。絶対ワクワクする答えを全人類が選ぶ
関連
途中から見たけど滝沢カレン面白かった。鴻上尚史さんのはちょっと短かった
「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)
- 作者:尚史, 鴻上
- 発売日: 2019/04/20
- メディア: 新書