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ボクらの時代 阿川佐和子×檀ふみ×遠藤龍之介 作家の子供達

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とうとうフジテレビ社長を駆り出すまでになったか。

父を語る

檀一雄遠藤周作阿川弘之

檀 うちは火宅の人なので、家にいないんですよ。時々やっぱり家でもんもんとしてる頃に、お手洗いに行くところに会うと、もう様相が変わってますもん。近づけなかったし、あるとき原稿書いてて、お手洗いに行ってる時にちょうど電話がかかってきて「電話です」父に向けたら「俺は今うんこがしたいんだ!」(笑)電話に向かって。怖いですね作家って

阿川 うちもそうだけど、作家の子供はひどい目に遭ってるのよ。
遠藤 母が外出してる時。家にいると煮詰まるんでしょうね
檀  お父様と二人だった
遠藤 はい「龍之介、絵を描いてやる」クレヨンで家の絵を描いて。窓があって子供が顔を出すんですね。「ひとりでおるすばんをしています」「ぼくとおなじ」「そうだな、龍之介と同じだな」赤いクレヨンで火を描いて「太郎くんのおうちは燃えてしまいました。お父さんお母さんと叫んでも誰も助けに来ない」それで私がワーっと泣くんですよ。なんか満足したような顔をして書斎に戻ってく(爆笑)なんだったんだろう
阿川 ひどくない?最初聞いたときびっくりして

檀 よくこれだけ立派に育った(笑)

阿川 世の中の常識が通用しない家庭に育った感じがないですか?
遠藤 そうなんですけど、小さい頃、三年生ぐらいですかね。ある日また父が「おい、キャッチボールに行こう」キャッチボールなんかやってくれた人じゃないので。近くの公園に行って10分、15分ぐらいやりましたかね「もういいだろ」言うんですよ。タクシー呼んで、気が付いたら着物の人がいて。同伴ですね(笑)同伴の口実。お店行って
阿川 クラブにも
檀 小学生で
遠藤 一人で帰すわけにいかないじゃないですか。1時間ぐらいいて「帰るぞ」10時ぐらいですよ。銀座の電通通りにグローブと半ズボンとボール持っているっていう。なんなのかなあこれ。多分お母さんに言っちゃいけないことなんだなあって、なんとなくわかった。

檀 そういう気遣いがきちんと出来たから社長にもなられた
阿川 催眠術にこられた時ね、お父様が
遠藤 帰ってくるとね、私が必ずターゲットなんですよ「お前の体はいま鋼鉄より硬い!」お腹に14インチぐらいのテレビをバーンと乗せられて。すごい痛いんですよ(笑)

阿川 催眠術かかってる
檀 よく我慢されましたね
阿川 龍之介さんも行ったんだって
遠藤 ぼくどうしてこんなことになってんの
阿川 今だったら大変ですよね。ドメスティックバイオレンス
遠藤 父親の機嫌がいいほうがいいみたいな
檀 わたしもそう。気を使うの。怖いんですけども、この方がうちで一番傷つきやすい人だって、どっかで。
遠藤 わかります
檀 「リツ子 その愛・その死」書いてる時。ドラマ化になって奥さんが亡くなるシーンで父が滂沱(ぼうだ)たる涙を流すわけですよ。それ見て「あ、泣いてる!」とは言えないですもんね。

阿川 社長になられた時に、檀さんがフィアンセになるはずだったとネットニュースか何かで
檀 そんなことが。私知らないですよ
遠藤 言っちゃっていいですか「檀ふみをフッた男、社長になる」(笑)本当に申し訳ない
阿川 火が立たないところには煙は立たない
檀 こんな私、ちょっと年上だけどお姉さんで良かったらいつでもお誘いくださいって手紙を
遠藤 おやじに書いた手紙だろ。強がって
阿川 場合に寄っては社長夫人になったかも

檀ふみはあまり活発な役を演じたことがないので、セリフが覚えられない時がある。父を喜ばせようと作家を目指したことも。ところが父が病気になって、一家を支えなければならなくなった。
遠藤龍之介はトラウマがあって、7歳の時に遠足の感想文を書いてたら父が怖い顔で見ていた。「汗がだらだらとか、お日様がカンカンとか、暑いのをそんな言葉で伝わるはずがないじゃないか!日陰の涼しさを書かなきゃダメだろ!」通俗的なフレーズで書いたことに怒るので嫌になった。それでも作家の息子でよかったと思う。
あるとき躁病の北杜夫からフジテレビに電話が。小説をドラマ化したいと。火星人の女と地球人の男の恋物語....「すいません、僕いま火星人やってないんですよ」「地球人の役は僕がやりたい」「先生、俳優業はハードですから」「そうですか、じゃ僕はADを」「そっちのほうがもっと大変」火星人役を加賀まりこさんにと。何故かその撤収を遠藤さんがw  父の最後の言葉は「会社の役職にこだわるな。部長とか課長は、会社がお前に貸与した貸衣装だ。おれは貸衣装じゃなくて、英国の仕立てのスーツなんだ」