初めて霊の存在を信じたのは中学生の時だった。
自分の部屋の、ある決まった方向を向いて寝ると、必ずと言っていいほど金縛り。
しかもお経や白い着物姿の女の人が現れる。
ずっと理由もわからず、ひとりで寝るのが怖かった。
その人は体の上にのしかかってくることもある。
団地住まいだったが、道路を隔てたところに松の木がある。
昔からこの木だけは切らずに残されていた。
松の木のすぐそばに一軒家があり自営業をしておられたが、そこのおじさんは自分が小学生のころ突然自殺をしてしまい、一家は引っ越してしまった。
ほどなくして、その近所のじいさんが急死した。運転中に様子がおかしくなり、同じコースをぐるぐる走っていたという噂があった。
つまり、この松の木の方角を向いて寝ると、体が動かなくなるのだ。
ある日思い切って父親に尋ねたら、松の木のあったあたりは、江戸時代の首切り場(死刑が行われていたとされる)だったのだそうだ。
現在付近は交差点になっているが、よく車やバイクが事故る。
坊主が幼稚園の頃は付近から園のバスに乗って通っていた。
月に何度かは事故現場となり、花束がたむけられることもある。交通死亡事故の多発地域だ。処刑場と無関係ではないと思う。
怖いんでうちの近くからバスに乗るように変えてもらった。朝から現場検証やら花束やら見たくない。
霊といっても親戚や祖母は恐怖感はない。
坊主を産んだ次の日とか、盲腸で入院したときに、父方の祖母が現れた。おそらくは自分を守ってくれているのだと思う。
激突してもおかしくない元彼の運転ミスでも、間一髪助かったこともある。母方の祖母は余程思い残したことが多かったのか、亡くなって1年近く現れ続けた。